2012 年 33 巻 1 号 p. 1-5
後天性真珠腫性中耳炎で経過観察中に左外耳道前壁に出現した先天性中耳真珠腫と考えられる症例を経験したので報告する。
症例は 1 歳より滲出性中耳炎で経過観察されていた。6 歳 7 カ月,左鼓膜後上部に後天性真珠腫を認め,6 歳10カ月に左鼓室形成術I型が施行された。真珠腫が鼓室の後上部と中央部に再発し,8 歳 0 カ月に再度左鼓室形成術I型が行われた。この時の CT にて左外耳道前壁の蜂巣内に腫瘤像を認められた。
9 歳 9 カ月に左外耳道前壁に腫瘤を認めた。CT にても左外耳道前壁内より外耳道に突出する腫瘤像を認めた。9 歳11カ月に左外耳道部腫瘤摘出術が施行された。摘出物は病理組織検査で真珠腫と診断された。術後 1 年,左外耳道前壁は上皮化し,なめらかな陥凹を認めるが角化物の堆積や真珠腫の再発を認めない。