抄録
ピーナッツなどの乾燥豆類による気道異物事故は,乳幼児に多く,毎年一定数起こっている。保護者への教育が肝要であるが,そもそも,保護者がどの程度気道異物の危険性を認識しているかを把握したいと考えた。2011年 6 月,ある幼稚園にて気道異物に関する講演会を行い,園児保護者46名に対し,気道異物に関する 7 項目のアンケートを実施し集計した。
保護者の65.9%が「気道異物」という言葉を知っており,65.2%が,乾燥豆類は気道異物の原因となり危険だと認識していた。しかし,危険性を認識していた保護者の50%,危険性を認識していなかった保護者の75%が,子供に乾燥豆類を与えていた。講演終了後は,ほとんどの保護者が,乾燥豆類を与えないようにすると回答した。
保護者への十分な教育によって気道異物事故が予防できる可能性がある。地域の耳鼻咽喉科医は,様々な形で乳幼児を持つ保護者に地道に啓発する責務があると考える。