耳鼻咽喉科医は,自閉症スペクトラムの子どもたちの耳鼻咽喉科診療を担当するだけでなく,耳鼻咽喉科検診(学校健診)や,「聞こえ」を心配されて受診する自閉症スペクトラムの子ども(親)への対応など,自閉症臨床において大きな役割を担っている。耳鼻咽喉科医が安心して自閉症スペクトラムの子どもたちの診療を行い,自閉症スペクトラムの子どもと親が安心して受診できるためには,耳鼻咽喉科・児童精神科・発達小児科の恊働による受療支援技術の開発や,親・教師・医師の恊働による受療準備の実践が重要である。加えて,発達特性に合わせた受療支援行為が正当に評価されること(保険点数化)や対応困難事例を紹介できる機関の整備など自閉症スペクトラムに対応する耳鼻咽喉科診療システムの構築も必要であろう。本稿では自閉症スペクトラムと自閉症スペクトラム障害(ASD)という用語について概説するとともに,受療支援の具体例についても提示した。