2014 年 35 巻 3 号 p. 270-273
2006年 4 月から2013年 3 月の間に当科で鼓室形成術を施行した手術時年齢 4 歳から15歳までの後天性真珠腫31耳(男児18耳,女児13耳)を対象とした。当科手術の基本は外耳道後壁保存型鼓室形成術であり,アブミ骨病変などによって段階的鼓室形成術を行っている。耳小骨連鎖再建術の内訳は WO ossiculplasty 型15耳(48%),I型 9 耳(29%),III型 5 耳(16%),IV型 2 耳(7%)であった。遺残性再発は31耳中 8 耳(26%)に認め,8 耳のうち 6 耳が初回手術で伝音再建をおこなわず段階手術を行った症例であった。段階的鼓室形成術を行うことで遺残による再発の進展を制御できるものと考えられた。再形成性再発は31耳中 5 耳(16%)に認められ,いずれも 9 歳以下の症例であり,耳管機能不全が起因していると考えられた。再形成性再発を予防するためには,手術時の配慮と小児であり術後長期間にわたる観察と適切な処置が大切であると思われた。