小児耳鼻咽喉科
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原著
発達により ABR が正常化した Cornelia de Lange 症候群の一例
追川 陽子大上 麻由里塚原 桃子関口 美也子大上 研二
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2015 年 36 巻 1 号 p. 58-64

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抄録
  Cornelia de Lange 症候群は,小児科医 Cornelia de Lange が初めて報告し,特異的顔貌や四肢の小奇形,精神発達遅滞,成長障害などを呈する先天性の多発奇形症候群である。耳鼻咽喉科領域としては難聴を合併することが知られているがその報告例はまだ少ない。今回我々は生後 1 カ月で当科を受診し,後に本症候群の診断が確定した男児の経時的な聴力の評価を行うことができたので報告する。本症例は月齢を重ねるごとに聴力の改善を認め ABR は 4 歳 1 カ月時に閾値,潜時ともに正常化していた。本症候群の難聴は伝音難聴ならびに感音難聴をきたす複数の要因を伴うため,適切な聴力の評価と難聴の原因精査を行うことが診療方針の決定や聴力の予後の推定に重要であると考えられた。
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© 2015 日本小児耳鼻咽喉科学会
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