小児耳鼻咽喉科
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シンポジウム 2―小児耳鼻咽喉科領域における遺伝子医療
ムコ多糖症とダウン症 —耳鼻咽喉科の立場から—
守本 倫子
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2015 年 36 巻 3 号 p. 286-290

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抄録
 ダウン症は800人に 1 人の割合で出生する染色体異常であり,ムコ多糖症はムコ多糖物質を代謝する酵素欠乏によるライソゾーム病である。どちらも滲出性中耳炎や感音難聴を合併しやすく,補聴器装用や鼓膜チューブ留置などの必要性やタイミングを見極めて治療を行っていく必要がある。また,咽頭狭窄があるため睡眠時無呼吸を来しやすい。アデノイドや扁桃摘出術は適応になるが,全身麻酔のリスクや,もともとの咽頭狭窄が原因で十分に治療効果が挙げられない可能性があることに注意する必要がある。2 つの疾患は遺伝的な原因も発症の機序も全く異なるものであるが,類似した共通の症状もある。手術治療が高い効果を挙げる一方,術後も症状が改善せず苦慮することも少なくない。こうした疾患においては,個々の治療方針についても小児科と連携をとっていくことが重要である。
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© 2015 日本小児耳鼻咽喉科学会
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