抄録
2012年から2013年の風疹大流行により40例以上の先天性風疹症候群(CRS)の報告があった。我々は出生時には症状がなく先天性風疹感染症(CRI)の診断であったが,1 歳 6 カ月時に左右差のある難聴の診断となり CRS となった症例を経験した。母親は妊娠10週に風疹に罹患し,出生時には児の血清抗体価上昇もあり胎内風疹感染が確認されたが,合併症状はなく自動 ABR は両側パスであり CRI と診断された。風疹分離が陰性となった後の ABR 検査で右60 dBnHL,左無反応で難聴の診断となった。
2013–2014年の CRS 報告45例中 9 例はワクチン接種歴の母から出生しており,妊娠中の風疹罹患歴がなしあるいは不明であった症例は13例であった。このうち何症例で難聴を合併していたかは不明であるが,ワクチン接種歴があり不顕性感染であった母親からの CRS による難聴症例が発生した可能性もあると考えられた。