2018 年 39 巻 1 号 p. 1-9
ダウン症は難聴を高率に合併することが報告されている。伝音難聴の原因となる滲出性中耳炎はダウン症児に高率に合併し,両耳に遷延する場合は補聴器装用が必要になるが補聴器装用開始のタイミングに苦慮することがある。そこで当科で補聴器を装用した7名のダウン症児について,補聴器装用のタイミングや滲出性中耳炎の合併,聴力の経過について検討を行った。その結果7名中6名に滲出性中耳炎を認め,ダウン症児の聴力や補聴器の装用状態には滲出性中耳炎による伝音難聴が大きく関与していた。また早期に補聴器装用を開始した例では良好な言語発育を認め,のちに聴力が改善する例でも早期に補聴器を装用することが言語発育を促す結果に結びついたと考えられる。滲出性中耳炎の多くが遷延,再発を繰り返していたことからも,難聴をきたす両側性の滲出性中耳炎が合併する場合は,補聴器の装用を躊躇するべきでないと考えられた。