小児耳鼻咽喉科
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教育セミナー
小児人工内耳の現状―NHSから進学・就職まで―
河野 淳白井 杏湖間 三千夫
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キーワード: 人工内耳, 聴取, 構音, 学力, 就職
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2019 年 40 巻 1 号 p. 1-11

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抄録

当科で過去27年間に人工内耳手術を施行した928例のうち他院手術例を含めた343名の小児例を対象に検討した。NHS referでCI装用に至ったのは19名(7.6%)。就学時単語,文の聴取能は平均80%以上で,手術年齢が早いほど,聴覚口話法がトータル法より,通常学校がろう学校より良かった。就学時に聴取不能例が約10%存在し,補聴器閾値,発達指数などが関与していた。国語学力で平均以上が聴児では約7割であるのに対して,人工内耳児では「読み」「書き」ともに4~5割で,小学生より中学生が低かった。中学生では通常学校においては一般との差が少なく,聴取能より語彙力によって学校種を選んでいた。高校卒業後の進学では,4大が約4割で全体で56.6%が進学し,一般(79.9%)より少なかった。高校卒業後の就労では,全体では事務職(40.5%),生産職(18.9%)が多く,一般と比較し事務職が多かった。

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© 2019 日本小児耳鼻咽喉科学会
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