小児耳鼻咽喉科
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40 巻 , 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
教育セミナー
  • 河野 淳, 白井 杏湖, 間 三千夫
    2019 年 40 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/21
    ジャーナル フリー

    当科で過去27年間に人工内耳手術を施行した928例のうち他院手術例を含めた343名の小児例を対象に検討した。NHS referでCI装用に至ったのは19名(7.6%)。就学時単語,文の聴取能は平均80%以上で,手術年齢が早いほど,聴覚口話法がトータル法より,通常学校がろう学校より良かった。就学時に聴取不能例が約10%存在し,補聴器閾値,発達指数などが関与していた。国語学力で平均以上が聴児では約7割であるのに対して,人工内耳児では「読み」「書き」ともに4~5割で,小学生より中学生が低かった。中学生では通常学校においては一般との差が少なく,聴取能より語彙力によって学校種を選んでいた。高校卒業後の進学では,4大が約4割で全体で56.6%が進学し,一般(79.9%)より少なかった。高校卒業後の就労では,全体では事務職(40.5%),生産職(18.9%)が多く,一般と比較し事務職が多かった。

  • 吉原 重美
    2019 年 40 巻 1 号 p. 12-17
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/21
    ジャーナル フリー

    乳幼児期,特に乳児期および幼児期早期の病態は,年長児にはない解剖学的,生理学的な特徴があり喘鳴を生じやすい。上気道狭窄では吸気性喘鳴,下気道狭窄では呼気性喘鳴を認める。乳幼児喘鳴の鑑別の基本は吸気性と呼気性あるいは急性と慢性・反復性に分類して考えることである。その分類後,疾患特異的な症状を基に検査を行い確定診断が可能となる。それにより,原因に対する適切な治療ができる。特に,慢性・反復性喘鳴患児の予後においては,乳幼児喘息と鼻・副鼻腔炎の鑑別が重要である。

原著
  • 佐々木 美奈, 間 三千夫, 中原 啓, 河野 淳
    2019 年 40 巻 1 号 p. 18-25
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/21
    ジャーナル フリー

    3歳児健診において聴覚検診が実施されるようになったが,就学直前になるまで難聴が見過ごされるケースが少なくない。今回我々は発達障害が疑われ難聴の存在がわかりにくかった3症例を経験した。症例らは健診を受けた保健所や医療機関にて自閉スペクトラム症や知的障害,注意欠如・多動性障害を指摘されたが,聴力精査を受けることはなく難聴に気付かれないまま適切な介入がなされていなかった。症例らの聴力同定を試み,補聴と言語療法を行ったことで,正確な聴力検査の結果と発達・知能検査結果を得ることが可能となった。また多動性や自閉スペクトラム症に見られる行動は軽減され,2例については知的障害,自閉スペクトラム症,注意欠如・多動性障害と誤認されていたことがわかった。医療機関や保健所においては言語発達の遅れや聴力に問題が認められるケースについて,専門機関で聴力精査するシステムの構築が必要である。

  • 坂井田 麻祐子
    2019 年 40 巻 1 号 p. 26-31
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/21
    ジャーナル フリー

    三重県内の幼稚園・保育園の教諭や保護者を対象に,主に講演を通じて小児気道異物の啓発を行っている。継続的かつ効果的に啓発するため,2017年11月に啓発絵本「つぶっこちゃん」を作成した。絵本を用いた啓発の有効性を検証するため,三重県内国公立幼稚園で研究協力の得られた79園を対象とし,絵本を配布・閲覧後,園教諭に対してアンケート調査を実施した(回収率94.9%)。節分時の豆まき実施園は,絵本配布前85.3%,配布直後69.3%,翌年度以降の実施予定園42.7%,福豆摂取実施園は,絵本配布前52.0%,配布直後49.2%,翌年度以降17.3%と減少した。園児の食事や玩具類に関する指導・対策は,絵本配布後に実施園が増加した。保護者への啓発,教員間での研修に関しては,実施をしない園が減少する傾向が見られた。絵本は気道異物の怖さや予防の大切さを印象的に伝える,有効な啓発ツールであると考える。

  • 上出 洋介
    2019 年 40 巻 1 号 p. 32-43
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/21
    ジャーナル フリー

    ワイドバンドティンパノメトリー(WBT)は広帯域周波数を用いて鼓膜・中耳の病態を探る新しい検査機器である。内視鏡下鼓膜所見とWBTを併用して本邦の生後6か月から3歳(未満)までの標準データ設定と滲出性中耳炎の重症度を分類した。結果は正常58耳,中耳陰圧22耳,軽度滲出性中耳炎10耳,重度滲出性中耳炎22耳で,4耳は分類できなかった。WBT標準域(欧米)と標準域(日本)を比較したところabsorbance(Abs)値は1 kHz~2 kHzで標準域(日本)が高く,それ以外の周波数帯域では標準域(欧米)が高い値であった。鼓膜所見とAbsの結果から正常,鼓膜陥凹,軽度滲出性中耳炎と重度滲出性中耳炎に分類できた。WBTは従来のティンパノメトリーに比べて詳細な診断が可能である。

症例報告
  • 黒木 良子, 秋山 清治郎, 持木 将人, 二藤 隆春, 鈴木 雅明, 伊藤 健
    2019 年 40 巻 1 号 p. 44-49
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/21
    ジャーナル フリー

    気管腕頭動脈瘻は,気管切開及び喉頭気管分離術後の最も重篤な合併症として知られている。今回我々は重症心身障害児に喉頭気管分離術を施行し,術後に気管腕頭動脈瘻を形成したものの救命し得た1例を経験したので報告する。症例は13歳女児。脳性麻痺,重度精神遅滞,難治性てんかん等に対して当院小児科外来を通院していた。原疾患に伴う呼吸状態の悪化により入院となり,経口挿管で人工呼吸器管理が開始されたが,抜管困難な状態が続いたため気管切開を施行。その後,誤嚥による気管の攣縮と呼吸状態の悪化の解決等のため,喉頭気管分離術を施行した。手術より2か月後にカニューレ交換を施行した際,気管内より大量の出血を生じた。換気チューブのカフを過膨張し一時的止血を得た。気管腕頭動脈瘻と診断し腕頭動脈離断術,上行大動脈-鎖骨下動脈バイパス術,気管瘻閉鎖術を施行。術後,脳の虚血は見られず,気管の状態も安定したため自宅退院となった。

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