高度な嚥下障害や,繰り返す誤嚥性肺炎や,窒息のリスクは,重症心身障害児者のQOLを大きく低下させ,時には生命の危険に直結する重要な問題である。嚥下障害への対応として,食形態の工夫,食事姿勢の工夫,胃ろう造設術があり,繰り返す誤嚥性肺炎や窒息のリスク回避に対しては,喉頭気管分離術がもっとも有効な方法である。最近6年間に,経口摂取困難あるいは繰り返す誤嚥性肺炎に対して,胃ろう造設術(9名),喉頭気管分離術術(10名)が施行され,いずれの症例においても,経鼻胃管からの解放及び誤嚥性肺炎の発症予防が得られた。専門家による評価・治療と,手術施設への転院・術後経過観察に関する患者負担の最小化を両立するためには,複数の診療科・部署と複数の医療機関の相互理解と協力が欠かせない。