2019 年 40 巻 3 号 p. 213-218
ワイドバンドティンパノメトリーは新しい概念のもとに開発された中耳機能検査機で,特に乳幼児の難聴,中でも中耳炎を背景にした難聴に対して有用な機器と考えられる。測定原理は広帯域周波数(クリック音)刺激によって,鼓膜,中耳,耳小骨,内耳に吸収されるエネルギー比率(アブゾーバンス)を算出して鼓膜,中耳の音響物理的特性を求める。臨床応用では計測で得られるピーク圧/無加圧アブゾーバンスの2種類のグラフパターンから滲出性中耳炎の病態診断を行うことができると考えている。