2020 年 41 巻 1 号 p. 34-40
軟骨伝導補聴器は新しい補聴器でその適応についての明確な基準は定まっていない。その性能について気導や骨導補聴器で行われている方法に準じて評価し,適応となる聴力の範囲について検討した。今回用いた方法は1)振動を音に変換し気導補聴器の評価に準じ2 cm3カプラで音圧レベルを測定する方法,2)骨導補聴器に準じ人工マストイドで振動のフォースレベルを測定する方法である。軟骨伝導は耳の構造の違いで音の伝導経路に違いが生じる。鼓膜を通して音が伝わる例では,1)の方法から少なくとも軽中等度難聴が適応と考えられ,中低音域を中心とした閾値上昇を示す例では高度難聴まで対応可能と推定された。鼓膜を通さず音が伝わる外耳道閉鎖症などの例では,2)の方法から骨導閾値が20–40 dB HL以内の例は適応範囲と推定された。