小児耳鼻咽喉科
Online ISSN : 2186-5957
Print ISSN : 0919-5858
ISSN-L : 0919-5858
41 巻 , 1 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
シンポジウム1―難聴児療育における多職種連携
シンポジウム3―先天性サイトメガロウイルス感染症
  • 守本 倫子
    2020 年 41 巻 1 号 p. 12-15
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/13
    ジャーナル フリー

    先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染では,聴力が進行性・遅発性に低下してくる可能性および知的および高次機能障害などを合併して言語発達に影響を及ぼすことが知られている。CMV感染による難聴であることを早期に発見,抗ウイルス薬による治療につなげることは重要であるが,まだ診断の流れが定まってなく,抗ウイルス薬の投与方法や治療効果も不明瞭な部分があるため,今後の検証が必要であろう。それと同時に,長期的な聴力および言語発達の評価,療育が必要であることを十分に理解し,患者と共有することが重要である。

  • 髙橋 長久
    2020 年 41 巻 1 号 p. 16-21
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/13
    ジャーナル フリー

    先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染症は胎児が感染することで発症し,出生時から何らかの異常を認める場合と無症状の場合があるとされている。新生児期の症状として小頭症,水頭症,脳室拡大,肝機能障害,網膜脈絡膜炎などがあり,後遺症として脳性麻痺の状態を呈する。一方で新生児期には無症状で聴力障害が主症状で診断される例や,発達障害の症状を呈するものも存在する。今回心身障害児総合医療療育センターでフォローしている先天性CMVの症例を後方視的に調査し,現状を報告した。運動障害がメインにフォローされている群と,行動上の問題がありフォローされている群に分かれた。重症心身障害者の症例の経過を報告するとともに,重症心身障害児者の合併症,特に呼吸障害及び誤嚥に関する対応方法などの概説を行った。重症児を育てることは喪失の連続であるが,重症心身障害児者の医療は本人のみならず家族を支える医療の側面を持つ。

シンポジウム5―気道異物―その時どう対応するか?―
  • 鈴木 幹男
    2020 年 41 巻 1 号 p. 22-26
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/13
    ジャーナル フリー

    小児の気道異物は呼吸状態が急変することがある。搬送中に死亡する例もあり速やかな対応が必要である。小児の気道異物は0歳から3歳までに多く,ピーナッツなどの豆類が主である。誤嚥のエピソードがはっきりしておれば精査できるが咳嗽のみの症状で発見までに時間を要することがある。さらに食物異物では放射線透過性のことが多いため,原因不明の慢性咳嗽と扱われることもある。診断では,エピソードから異物を疑い,聴診や画像検査を行う。異物摘出では軟性ファイバースコープを用いて気管・気管支内の異物の位置,状態を確認してから硬性気管支鏡を挿入して摘出を行う。摘出終了後,再度軟性ファイバースコープを用いて気道内を観察し,異物断片の残存を確認する。術前の状態,術中の状況により気管切開,体外循環を用いた呼吸管理が必要な時もあるが,できるだけ低侵襲な手術操作を行うことが重要である。

原著
  • 紫野 正人, 安岡 義人, 近松 一朗
    2020 年 41 巻 1 号 p. 27-33
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/13
    ジャーナル フリー

    長期間の気管カニューレ管理において気管腕頭動脈瘻は重篤な合併症であり,重症心身障害児(者)では側弯症などの姿勢変化によって致命的出血のリスクは高まる。今回,気管腕頭動脈瘻を予防するための安全な気管カニューレ管理を目的に,当院で腕頭動脈離断術を施行した6症例について,臨床症状,気管内所見,画像所見を後方視的に検討した。側弯症などの姿勢変化と,びらん・潰瘍,腕頭動脈上方偏位による気管狭窄などの気管内所見を全症例に認めた。先行出血は半数でみとめた。画像所見では単純X線でコブ角が61°,造影CTで胸郭前後径が18.7 mm,気管前後径が5 mm(それぞれ中央値)であった。腕頭動脈破裂による緊急手術が1例あり,5例は予防的に腕頭動脈離断術を施行した。ファイバースコープ検査を頻回に行って,何からの気管内所見がある症例では画像検査の計画,さらには予防的腕頭動脈離断術を検討することが適切な管理と考えた。

  • 西村 忠己, 細井 裕司, 森本 千裕, 北原 糺
    2020 年 41 巻 1 号 p. 34-40
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/13
    ジャーナル フリー

    軟骨伝導補聴器は新しい補聴器でその適応についての明確な基準は定まっていない。その性能について気導や骨導補聴器で行われている方法に準じて評価し,適応となる聴力の範囲について検討した。今回用いた方法は1)振動を音に変換し気導補聴器の評価に準じ2 cm3カプラで音圧レベルを測定する方法,2)骨導補聴器に準じ人工マストイドで振動のフォースレベルを測定する方法である。軟骨伝導は耳の構造の違いで音の伝導経路に違いが生じる。鼓膜を通して音が伝わる例では,1)の方法から少なくとも軽中等度難聴が適応と考えられ,中低音域を中心とした閾値上昇を示す例では高度難聴まで対応可能と推定された。鼓膜を通さず音が伝わる外耳道閉鎖症などの例では,2)の方法から骨導閾値が20–40 dB HL以内の例は適応範囲と推定された。

  • 澤田 正一, 小林 泰輔
    2020 年 41 巻 1 号 p. 41-46
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/13
    ジャーナル フリー

    小児結膜炎-中耳炎症候群33例と中耳炎を伴わない小児急性結膜炎120例の細菌学的検討を行った。小児結膜炎-中耳炎症候群において,眼脂培養では82%から細菌が検出された。細菌は29株検出され,インフルエンザ菌(HI)25株(89%),肺炎球菌(SP)3株(10%),モラクセラ・カタラーリス(MC)1株(3%)であった。眼脂から培養された29株のうち28株(97%)は同種の細菌が鼻咽腔からも検出された。小児結膜炎-中耳炎症候群では,HIが最も重要な原因菌である。

    急性結膜炎では,65%から細菌が検出され,HI 64株(69%),SP 16株(17%),MC 5株(5%),その他8株(9%)であった。SPまたはHIが検出されたものについて年代別に検討したところ,月齢が上がってくるとHIの比率が上昇していた。小児結膜炎-中耳炎症候群においてはHIが多いが,低月齢ではSPも想定が必要である。

  • 佐藤 梨里子, 工 穣, 宇佐美 真一
    2020 年 41 巻 1 号 p. 47-55
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/13
    ジャーナル フリー

    18トリソミー症候群は,18番染色体全長あるいは一部の重複に基づく先天異常症候群である。先天性心疾患などの多系統異常の合併に加えて難聴症状を呈し,生存期間は短く予後不良と言われている。我々は,本疾患の難聴合併児7症例に対して補聴器装用を行った。初診時から補聴器開始までの経過,各種聴力検査に加えて家族からのアンケート調査を行った。補聴器開始時期は生後10か月から4歳であった。難聴の種類は伝音難聴と混合性難聴が混在し,CT画像検査では外耳道狭窄と耳小骨奇形を認めた。補聴器機種は4症例が骨導補聴器,3症例が耳かけ型補聴器を使用した。家族からのアンケート調査では約70%が音や人の声などに何らかの反応が認められ,半数以上の家族で補聴器装用の効果を感じられていた。難聴の診断が確定された症例には耳鼻咽喉科医として補聴器装用への導入を積極的に勧めるべきであり,成長や発達の援護になると考える。

  • 中村 彰子, 太田 有美, 大崎 康宏, 佐藤 崇, 岡崎 鈴代, 森鼻 哲生, 岩本 依子, 今井 貴夫, 猪原 秀典
    2020 年 41 巻 1 号 p. 56-63
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/13
    ジャーナル フリー

    2008年1月~2018年12月までに大阪大学医学部附属病院耳鼻咽喉科幼児難聴外来に受診したダウン症児44名について,聴力評価および経過,介入について検討した。軽度以上の難聴を認めた例は94%(42/44例)であった。両側中等度以上の難聴を認めた20例中17例で補聴器導入が行われていた。最終的に人工内耳装用となった例も3例あった。5例は最終的に補聴器装用不要と判断され,装用中止となっていた。NHSでpassであった例の中で31%(5/16例)に両側中等度以上の難聴が認められた。したがって,ダウン症児ではNHSでpassであっても全例で聴力評価を行うことが望ましいと考える。そして補聴器装用も躊躇せず行うべきと考えるが,聴力の変動があることを留意し,定期的な経過観察を行う必要がある。

症例報告
  • 梶原 理子, 松島 康二, 松浦 賢太郎, 古谷 花絵, 細野 祥子, 井上 彰子, 和田 弘太
    2020 年 41 巻 1 号 p. 64-69
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/13
    ジャーナル フリー

    今回我々は6ヶ月齢児の顔面神経麻痺の1例を経験した。本邦では,顔面神経麻痺の評価法として主に柳原法が使用されているが,乳児は指示に従えないため柳原法での評価が難しい。そこで我々は,小児顔面神経麻痺の評価に有用とされるトリアージ10点法を用いて経過を追った。トリアージ10点法は,評価項目を「額のしわ寄せ」・「強い閉眼」・「イーと歯を見せる」の3表情に限定し,動作の速度の左右差も評価対象としている。動作の速度の左右差は,指示に従える年齢であれば同じ動作を複数回くり返すことにより捉えやすくなる。しかし,乳児は指示に従えないため同じ動作をくり返すことは難しく,単回の動作のみでその速度の左右差を正確に把握しなければならないため,肉眼で観察するだけでは捉えきれない場合がある。この問題に対応するために,表情筋運動を動画で記録しスロー再生にて確認する方法を試みたので報告する。

  • 翁長 龍太郎, 山内 智彦, 今吉 正一郎, 伊藤 真人, 西野 宏
    2020 年 41 巻 1 号 p. 70-74
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/13
    ジャーナル フリー

    小児甲状舌管癌は頻度が少なく,再発症例はさらに稀である。今回2度再発を反復した症例を経験したので報告する。初発時12歳の男児。甲状舌管から右頸部にかけての乳頭癌に対し甲状腺右葉切除術,Sistrunk手術,頸部郭清術を併施した。右葉には原発巣を認めず甲状舌管癌と診断した。13歳時に頸部リンパ節再発し,頸部郭清術を施行した。今回,経過観察中の21歳時に甲状腺左葉へ乳頭癌の転移再発を認め,左葉切除術を施行した。甲状腺が原発巣であった可能性を完全には否定できないものの,超音波所見の推移から可能性は極めて低いと考える。初回治療の議論や左葉病変の臨床的及び病理学的な検討を含め考察する。

  • 宮本 真, 齋藤 康一郎
    2020 年 41 巻 1 号 p. 75-79
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/13
    ジャーナル フリー

    重度の喉頭軟弱症は外科的な声門上形成術(supraglottoplasty)が必要とされており,特に披裂部型の症例に対して披裂部余剰粘膜のレーザー切除術の有効性が報告されている。しかし乳幼児期に使用できる細径のレーザー用挿管チューブは存在しないため,気道熱傷の予防においてもレーザーによる手術は基本的に困難である。今回われわれは通常の経口挿管チューブを用いた全身麻酔下に,cold instrumentの一つである剪刀のみで声門上形成術を行った。手術は挿管後,直達喉頭鏡をかけ喉頭を観察した後,剪刃にて披裂喉頭蓋ひだを切離し披裂部の余剰粘膜を切除した。術中の出血量は少なく止血も容易であった。創部の浮腫は生じず翌日抜管でき,剪刃のみでも声門上形成術を行うことは可能と考える。

feedback
Top