小児耳鼻咽喉科
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症例報告
評価が難しい乳児の顔面神経麻痺に対して当科で行っている工夫
梶原 理子松島 康二松浦 賢太郎古谷 花絵細野 祥子井上 彰子和田 弘太
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2020 年 41 巻 1 号 p. 64-69

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抄録

今回我々は6ヶ月齢児の顔面神経麻痺の1例を経験した。本邦では,顔面神経麻痺の評価法として主に柳原法が使用されているが,乳児は指示に従えないため柳原法での評価が難しい。そこで我々は,小児顔面神経麻痺の評価に有用とされるトリアージ10点法を用いて経過を追った。トリアージ10点法は,評価項目を「額のしわ寄せ」・「強い閉眼」・「イーと歯を見せる」の3表情に限定し,動作の速度の左右差も評価対象としている。動作の速度の左右差は,指示に従える年齢であれば同じ動作を複数回くり返すことにより捉えやすくなる。しかし,乳児は指示に従えないため同じ動作をくり返すことは難しく,単回の動作のみでその速度の左右差を正確に把握しなければならないため,肉眼で観察するだけでは捉えきれない場合がある。この問題に対応するために,表情筋運動を動画で記録しスロー再生にて確認する方法を試みたので報告する。

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© 2020 日本小児耳鼻咽喉科学会
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