2020 年 41 巻 3 号 p. 277-283
おたふくかぜはムンプスウイルスによる全身感染症であり,無菌性髄膜炎や難聴をはじめとして合併症の多い疾患である。したがって予防することが望ましく,おたふくかぜワクチンは広く接種を促進してゆくことが大切と考えられる。かつてのMMRワクチンによる教訓も踏まえて,定期接種化に向けては弱毒生ワクチンの副反応リスクの評価が必要であり,現在も議論が継続されている。これまでに得られたエビデンスや審議の経緯,呈示された論点を考慮すると,以下の3点が重要と考えられる。①早期からの予防と高い接種率につながり,かつ副反応のリスクが低いと考えられる1歳での初回接種を推奨する。②無菌性髄膜炎の発症頻度に影響をおよぼす因子についての検討は継続する。③重篤な副反応の監視とリスクコミュニケーションに力を注ぐ。