2023 年 44 巻 1 号 p. 103-110
ランゲルハンス細胞組織球症(Langerhans cell histiocytosis: LCH)は,抗原提示細胞の形質を示すモノクローナルなLCH細胞が浸潤する小児に好発する炎症性腫瘍疾患である。本症では治療による寛解後も長い経過中に晩期合併症や二次癌を生じて生活の質が低下することが懸念される。今回,寛解後に甲状腺乳頭癌(PTC)を生じた多発骨型LCHの1例を報告した。症例は15歳男児で,9歳時に右側頭部および左股関節にLCH病変を認め,日本ランゲルハンス細胞組織球症研究グループ(JLSG)-02プロトコールに従い化学療法で完全寛解を得た。しかし,5年後に両側リンパ節転移を伴うPTCを発症し当科に転科した。甲状腺全摘出術および両側頸部郭清術を行い,術後に放射線ヨウ素内服療法を行った。LCHおよびPTCともにBRAF V600E変異陽性であった。13年を経た現在,無病生存している。LCHは耳鼻咽喉科領域の病変で発症することが多く,PTCを続発することがあるため耳鼻咽喉科医が留意すべき疾患である。