小児耳鼻咽喉科
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シンポジウム2―小児の嗅覚 成長・発達への影響
発達障害児の嗅覚特性
熊﨑 博一
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2023 年 44 巻 1 号 p. 49-53

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抄録

精神神経疾患において嗅覚特性に注目が集まっている。発達障害においても例外ではない。自閉スペクトラム症では,DSM-5において嗅覚を含めた感覚特異性は診断基準となっている。筆者は,児童思春期を中心に診療従事している精神科医師である。筆者が従事している児童精神科外来では全例に嗅覚特性について聴取しているが,ASD児が食事のにおいや体臭のにおいに慣れることができず不適応となる例を相当症例経験してきた。中には家族が早い段階で嗅覚特性について認識していたケースもあるが,周りから理解してもらえないケースも多かった。ASD児の嗅覚特異性は社会不適応につながっている可能性があり,バイオマーカーとしても注目されている。一方でASDの嗅覚特性は閾値上にも特徴があるが閾値下により強い特徴を認める可能性がある。今後本分野の理解が進み,解明が進むことがASDの支援に重要であり,本分野のさらなる発展を期待する。

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© 2023 日本小児耳鼻咽喉科学会
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