2008 年 29 巻 1 号 p. 33-38
小児機能性難聴における語音聴力検査の有効性について検討を行った.3年間に当科を訪れた機能性難聴患児20人38耳に対して,4分法平均聴力と語音了解域値検査(Speech receptionthreshold:SRT)の関係及び,4分法平均聴力と最高明瞭度の関係を調べた.また,語音弁別検査の回答に認める特徴を調べた.4分法平均聴力とSRTの比較では,4分法聴力が上昇するに従いSRTとの乖離が大きくなり,74%の症例でSRTの結果が純音聴力よりも良好であった.4分法平均聴力と最高明瞭度の関係では,平均聴力が悪くても,比較的明瞭度が保たれている例を多く認めた.これらのことより,機能性難聴では純音聴力よりも語音聴力が良好な傾向である事が分かった.さらに語音明瞭度検査の回答に注目してみると,不自然な点を認めることから機能性難聴を疑う症例があった.以上のことより,語音聴力検査は小児機能性難聴の診断に有用であると考えられた.