小児耳鼻咽喉科
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29 巻, 1 号
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  • 佐久間 直子, 小河原 昇, 佃 守
    2008 年 29 巻 1 号 p. 3-7
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    Plastic bronchitisは気管支腔内に鋳型様の粘液栓が形成され,それが内因性の異物となり,気道が閉塞される病態である. 今回我々は3例経験したので報告する. 3例とも気道感染様症状が主訴であり,気管支鏡を使用し鉗子にて除去された. 気管支鏡を施行する前に確定診断をすることは困難であった. 呼吸困難,無気肺を呈する場合,肺炎や外因性の気管支異物の他に,本疾患も鑑別として考える必要がある. また死に至ることもあるため疑われた場合は,速やかに気管支鏡を施行するべきであると考えられた.
  • 2006年はどう変わったか
    工藤 典代, 有本 友季子, 仲野 敦子
    2008 年 29 巻 1 号 p. 8-12
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    通常の治療で治癒しない難治性中耳炎の乳幼児で入院治療例数は2006年にはわずか5例と激減した. 入院例の検討を行い,その原因を考察し報告した.
    症例は生後10カ月から26カ月の5例で,男児が1例,女児が4例である. 初回急性中耳炎は8カ月から18カ月であった. 全例が集団保育を受けていたが,初回急性中耳炎が集団保育参加の前であったのは2例である. 入院した際の中耳貯留液からはPISPが3例耳から,BLNARが1耳から,検出され,菌陰性が2例であった. IgGと,その分画を測定したのは3例であり,IgGは777,848,668mg/dl,IgG2はそれぞれ54,78,83mg/dlであった. 家族の喫煙が5家族中2家族にあった. インフルエンザ菌の耐性化は進んでいるものの,肺炎球菌の耐性率が減少したことが入院治療を要する難治性中耳炎の減少につながった可能性が示唆された. また,2006年3月にリリースされた急性中耳炎診療ガイドラインの普及により,AMPCの高用量による治療が一般診療所にも普及した結果,肺炎球菌による急性中耳炎に対する治療効果がみられ,入院治療を要する重症例が減少した可能性も考えられる. さらに,2005年に難治性中耳炎の入院例に鼓膜換気チューブ留置を積極的に施行した結果,反復例が減少した可能性も大きいと思われた.
  • 益田 慎, 新妻 由希枝, 山田 朝美, 福島 典之
    2008 年 29 巻 1 号 p. 13-19
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    発達障害の一つである学習障害への早期介入を実現しようとすれば,言語発達障害児の早期発見・早期支援は重要である. 当科を受診した148名の未就学児を対象に検討を行い,言語発達障害児の早期発見に与える乳幼児健診の影響を中心に検討した. 結論的には言語発達障害児の早期発見は難聴児と比べると実現していなかった. 言語発達障害という疾患特性に起因する問題もあるが,3歳児健診が言語発達障害児の発見に有効であることは確認され,その活用が現行の乳幼児健診システムでの課題と思われた. 特に健診で言語発達上の異常を認めながら「様子をみましょう」と対応することは控えられるべきである.
  • 伊藤 真人, 古川 仭
    2008 年 29 巻 1 号 p. 20-24
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    急性中耳炎起炎菌の薬剤耐性株の市中における蔓延にともない,抗菌化学療法の限界を示すような難治性の急性中耳炎症例が増加している状況において,2006年に日本耳鼻咽喉科学会関連3学会,研究会から「小児急性中耳炎診療ガイドライン」が提唱された. 今回小児の急性中耳炎診療にたずさわる耳鼻咽喉科医・小児科医を対象に,本ガイドラインがどの程度認知され,実際に活用されているかを知るためにアンケート調査を行った. その結果,耳鼻咽喉科医の85%がガイドラインの存在を知っており,耳鼻咽喉科医への認知度はある程度進んでいた. しかし耳鼻咽喉科医・小児科医ともに全体の40%程度の医師は今後もガイドラインを参考にする必要を感じていないという結果であり,特にクリニック開業医師にその傾向が強かった. ガイドラインは,あくまでも診療にあたって臨床的判断を支援するためのものである点を周知し,さらなる普及が必要である.
  • 呉 晃一, 松井 和夫, 内藤 聡, 大田 隆之
    2008 年 29 巻 1 号 p. 25-28
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    正円窓窩にまで進展していた先天性中耳真珠腫の1例を経験したので報告する.
    症例は5歳男子で主訴は左難聴.現病歴は左難聴にて近医受診し,左先天性中耳真珠腫を疑われたため当科受診となった.左鼓膜所見において鼓膜全体に白色塊を透見し,CT上左鼓室から乳突洞に充満する軟部陰影を認めた.左平均聴力レベルは,56.7dB(3分法)であった.左先天性中耳真珠腫と診断し,左鼓室形成術を行ったところ,中耳真珠腫は,鼓室内に充満し正円窓窩にまで進展していた.岬角の骨を一部除去し中耳真珠腫を摘出したが,遺残の疑いがあり半年後に段階手術として左鼓室形成術(IV-c)を行った.幸い内耳障害を生じず術後左平均聴力は,36.7dBと良好である.正円窓窩にまで進展していた先天性中耳真珠腫は稀であり,若干の文献的考察を加えここに報告する.
  • 清水 直樹, 家根 旦有, 岡本 英之, 細井 裕司
    2008 年 29 巻 1 号 p. 29-32
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    奈良県立医科大学耳鼻咽喉科では1990年から2006年の過去17年間に7例の小児甲状腺癌を経験した.これは当科で手術を施行した甲状腺悪性腫瘍全体の1.6%に相当する.性別は男性3例,女性4例で,年齢は8~16歳,平均年齢は11.6歳であった.病理組織型は,乳頭癌6例,濾胞癌1例と,成人同様乳頭癌が多く認められた.乳頭癌のうち,びまん性硬化型乳頭癌と診断した症例が1例,充実濾胞型の増殖を示した症例が1例あった.また全例に頸部リンパ節転移を認めた.甲状腺全摘術を施行した2症例は,術後一時的に気管切開を要した進行例であった.肺転移が認められた症例が3例あり,そのうち2例に衛後アイソトープ治療を施行した.小児甲状腺癌の予後は成人と比較し良好であると報告されているが,初診時から周囲組織への高度浸潤を認める症例や,遠隔転移をきたすなど進行癌である場合も多く,治療方針の選択には十分注意する必要であると考えられた.
  • 森本 千裕, 西村 忠己, 細井 裕司
    2008 年 29 巻 1 号 p. 33-38
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    小児機能性難聴における語音聴力検査の有効性について検討を行った.3年間に当科を訪れた機能性難聴患児20人38耳に対して,4分法平均聴力と語音了解域値検査(Speech receptionthreshold:SRT)の関係及び,4分法平均聴力と最高明瞭度の関係を調べた.また,語音弁別検査の回答に認める特徴を調べた.4分法平均聴力とSRTの比較では,4分法聴力が上昇するに従いSRTとの乖離が大きくなり,74%の症例でSRTの結果が純音聴力よりも良好であった.4分法平均聴力と最高明瞭度の関係では,平均聴力が悪くても,比較的明瞭度が保たれている例を多く認めた.これらのことより,機能性難聴では純音聴力よりも語音聴力が良好な傾向である事が分かった.さらに語音明瞭度検査の回答に注目してみると,不自然な点を認めることから機能性難聴を疑う症例があった.以上のことより,語音聴力検査は小児機能性難聴の診断に有用であると考えられた.
  • 姜 洪仁, 峯田 周幸, 上田 昌代, 林 麻衣子
    2008 年 29 巻 1 号 p. 39-43
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    新生児期の気管異常は稀な疾患で,気道確保が困難であったり,誤嚥性肺炎などが悪化すると致命的になることがある.今回我々は早産による超低出生体重児で挿管管理が極めて困難であった2症例を経験した.両者とも出生時体重が820gで,出生直後より気管内挿管管理されたが,体位変換により呼吸状態の急激な悪化を繰り返したため,当科を受診した.症例1は日齢48日に換気不良となり,内視鏡下に再度気管内挿管を試みたが,声門下に気管が確認できず,呼吸状態が徐々に悪化したため死亡した.剖検の結果,一部に気管組織を認めない部位が存在したため,気管無形成症と診断された.症例2は内視鏡所見で,気管分岐部より2cm上方に瘻孔を認めたため,生後11か月時に,全身麻酔下で気管支鏡検査を施行し,気管食道瘻と診断された.数日後に瘻孔閉鎖術が施行され,現在まで経過良好である.
  • 堀部 晴司, 内藤 健晴, 堀部 智子, 清水 雅子, 伊藤 周史, 吉岡 哲志
    2008 年 29 巻 1 号 p. 44-49
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    1992年に当大学に口唇口蓋裂センターが開設されて以来,2006年4月までに600例以上の口唇口蓋裂患者が当センターを受診し,そのうち382例が当教室の鼻咽腔閉鎖機能検査外来を受診した.その内,30例に著明な鼻咽腔閉鎖不全のため咽頭弁形成術が施行された.咽頭弁形成術は高度のいびきや睡眠呼吸障害を来し,最悪,睡眠時の呼吸停止という生命的危機に係わる重大な状況に陥る危険性が否定できない.一方で,小児の場合,高度の口蓋扁桃肥大による睡眠呼吸障害は扁桃摘出術のよい適応であるが,術後,正常児でも開鼻声を来すことがある.咽頭弁形成が施行された症例の中から,特殊症例として,著明な口蓋扁桃肥大を合併していた4症例に対して,口蓋扁桃摘出術を同時に併用して良好な成績を得たが,相反する両手術を併用する場合には,その適応についての十分な検討と,保護者への術前説明に特段の注意を払わなければならないと考える.
  • 奥中 美恵子, 任 智美, 大西 和歌, 阪上 雅史
    2008 年 29 巻 1 号 p. 50-55
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    就学前に発症した前庭水管拡大症6症例について報告した.治療は突発性難聴に準ずる保存的治療を施行したが,頻回に聴力変動を繰り返す傾向があった.長期的にみると難聴は徐々に進行する傾向にあった.聴力変動が著しく心因性難聴を疑われ,診断が遅延した症例もみられた.ステロイドが有効であった場合もあるが,治療終了後6カ月して聴力回復が見られたときもあった.小児期の発症例は言語発達の観点から前庭水管拡大の早期診断が重要であり,聴力変動に対して適切な生活指導や療養を行う必要があると考えられた.
  • 看護師による電話相談の効果
    細井 千晴, 坂田 英明, 安達 のどか
    2008 年 29 巻 1 号 p. 56-61
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    耳鼻咽喉科疾患は中耳炎や鼻出血など,小児に多い救急疾患の特徴があり,その対応には専門的な知識が必要である.今回我々は,専門的な知識を要する耳鼻咽喉科に関連した電話による問い合わせについて,その内容や対応などの現状を調査した.2006年1月から3月において,耳鼻咽喉科疾患に関連した診療時間外の電話による問い合わせは,81件で全体の8.5%であった.内容は,「異物」「外傷」「鼻出血」に関するものが上位を占めていた.救急外来看護師による院内電話対応マニュアルに沿った対応の結果,約67.1%が救急受診を回避することができた.症候や疾患の特徴をよく理解した上で,電話相談により緊急度を判断し,さらに適切な指導を行うことは,(1)保護者の不安の軽減・対処能力への支援,(2)夜間の時間外診療の負担軽減に効果が期待できる,など小児救急医療の抱える問題の解決の一部として,大変意義深いと考えられる.
  • 2008 年 29 巻 1 号 p. 62-70
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
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