修紅短期大学紀要
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農村コミュニティの価値と評価手法に関する考察
館山 壮一宮城 好郎
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2020 年 40 巻 p. 1-13

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抄録
農村コミュニティが保有する価値の評価手法を開発することを念頭に、農村の機能に関する研究とそ の価値を評価している研究をサーベイし、評価方法を整理して農村コミュニティが有する機能と価値の 変遷を明らかにした。その結果、景観に関しては価値の評価に関する研究が行われているものの、集落 行事や人間関係についての研究は現況の描写が主な研究であり、ソーシャル・キャピタルの面からの評 価アプローチはあるものの、価値の計測にまで踏み込んだ研究はほとんど存在していないと判明した。 また農村の機能については、これまでの農村は、管理された田畑からの収穫物という利益で生業を営 み、その上に伝統文化や技術が成り立っていたものの、少子高齢化によりそこで生活することが最優先 の目的に移り変わったことによって、重点的に支援すべき機能にも生じていると指摘した。そして最後 に、支援すべき機能に変化が見られるなら、農村で生活することを最終生産物と捉え、人的資源のまと まりやそれに要する労力という観点からの評価も必要であるとして、経済学的視点や会計学的視点の重 要性を指摘し、今後の研究につなげるべきであることに言及した。
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