抄録
L-アスコルビン酸は熱に対して安定で、酸化型のデヒドロアスコルビン酸は熱に対して不安定で分解
されることが報告されている。本研究は、L-アスコルビン酸の熱に対する安定性を詳しく調べることを
目的とし、4mg/ml L-アスコルビン酸標準溶液とレモン果汁を試料として、40℃・60℃・80℃・水の
沸騰温度において、加熱をはじめてから90分間あるいは120分間までのL-アスコルビン酸濃度の経時
変化を調べたものである。両試料とも40℃および60℃で120分間加熱ではL-アスコルビン酸濃度に有
意な減少はなく、80℃ 90分間加熱では両試料とも緩やかな減少がみられた。沸騰温度90分間加熱で有
意に減少し、4mg/ml L-アスコルビン酸標準溶液とレモン果汁で加熱前よりそれぞれ47.8%と40.0%
に減少した。なお、レモン果汁の減少率が高かった。L-アスコルビン酸は熱に対し60℃までは120分
間の長時間加熱でも安定であること、沸騰温度では90分間加熱で半分以下になると判明した。