室内環境
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技術資料
除湿機能付き熱交換型換気扇による室内カビ増殖抑制効果に関する研究
山下 信彦松本 由紀子阿部 恵子
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キーワード: 換気, 除湿, カビ
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2009 年 12 巻 2 号 p. 143-150

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抄録
除湿機能付き熱交換型換気扇は,除湿機能を備えたセントラルタイプの換気扇である。本換気扇の運転によるカビの繁殖抑制効果を検証するため,本換気扇および通常のセントラルタイプの全熱交換型換気扇(対照換気扇)を設置した2室を用意し,カビセンサー(供試カビを封入した試験片)を用いてカビ発育環境を調査し,同時に温湿度を計測した。本換気扇設置室では,全ての調査期間において全ての供試菌に全く発育が認められず,カビが発育する環境にならなかったが,対照換気扇設置室では,複数の調査期間において複数の供試菌(好乾性AspergillusEurotium)の発育が認められ,対照換気扇設置室は室内全体がカビの発育する環境になった。温湿度計測結果から,本換気扇設置の部屋は通常の全熱交換型換気扇設置の部屋に比べ絶対湿度,相対湿度ともに明確に低く維持された。以上の結果より,本換気扇の設置により室内の湿度を低く保ちカビの繁殖を抑制することが可能であり,本換気扇を設置した建物ではカビが繁殖せず通常の全熱交換型換気扇を設置した建物ではカビが繁殖する場合があることが明らかとなった。外気の絶対湿度が高い夏期は,換気することによって外気中の水分が屋内に取り込まれ,建物内部がカビの発育する環境に変わってしまう可能性がある。このような季節には,本換気システムのような除湿を取り入れた換気方法が有効である。
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© 2009 一般社団法人 室内環境学会
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