室内環境
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原著論文
発泡ポリスチレンビーズ及びその使用製品からの化学物質放散フラックス
飯塚 淳水越 厚史齋藤 京子八巻 高子野口 美由貴柳沢 幸雄
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2010 年 13 巻 2 号 p. 155-161

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抄録
発泡ポリスチレンビーズ及び発泡ポリスチレンビーズを用いた製品からのスチレンの放散フラックスをPassive Flux Sampler(PFS)を用いて測定した。25℃において各試料からのスチレンの放散フラックスは11~220μg/m2/hであり 温度の上昇に伴って増加した。体温を想定した36℃では,スチレンの放散フラックスは32~620μg/m2/hであった。また,50℃では,203~2.23×103μg/m2/hであった。アレニウスプロットから計算された各試料からのスチレン放散の見かけの活性化エネルギーの値は概ね100kJ/mol以下であった。ポリスチレン樹脂の熱分解反応の活性化エネルギーは210kJ/molと報告されている。そこで,試料からのスチレン放散の律速段階は,物質移動過程であると推測された。枕やクッション等の製品は呼吸域の近くで使用され,体温で暖められて放散量が多くなる可能性が高いため,これらの製品の使用によってスチレンへの曝露が生じることが懸念される。
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© 2010 一般社団法人 室内環境学会
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