室内環境
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調査資料
計量書誌学的アプローチによる室内環境研究の動向分析
関根 嘉香河村 歩美池田 四郎
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ジャーナル オープンアクセス

2012 年 15 巻 2 号 p. 181-188

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抄録

室内環境学会は様々な分野の研究者が集まり,学際的に意見を交換できる場として1994年に設立され,現在に至っている。本研究の目的は,わが国の室内環境に関わる研究者の関心の所在およびその経年変化を明らかにし,室内環境学のあり方を考察するための基礎資料を提供することである。そこで,室内環境学会学術大会に際して発行される講演要旨集に掲載された講演要旨を対象に計量書誌学的観点に基づくトレンド分析を行い,これまでの研究内容(室内環境の場,対象物質など)や発表者の属性にどのような傾向があるかを調査した。その結果,1998年に31件であった研究発表数は,2003年に約3倍に増加し,2008年以降は100件程度で推移していた。2004年頃まではシックハウス問題に関連し,住宅におけるホルムアルデヒドや揮発性有機化合物(VOCs)を扱う研究が多く報告されていたが,近年は研究対象となる室内環境の場および「対象物質」はともに多様化する傾向にあった。また本学術大会の一般研究発表の約半数が,産学,学公など,立場を超えた連携研究によるものであり,本学会が実学志向の強い研究者の集まりであることが示唆された。

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© 2012 一般社団法人 室内環境学会
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