室内環境
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技術資料
ミニチュア拡散スクラバーと2,4-ペンタンジオン試薬を用いる室内空気中のホルムアルデヒドの高速液体クロマトグラフィー
細田 洋平松村 年郎吉川 賢治森田 孝節櫻川 昭雄青柳 玲児中村 亜衣松延 邦明
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2012 年 15 巻 2 号 p. 173-180

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抄録
室内環境内に存在するホルムアルデヒド(HCHO)は刺激性を有し,かつ,変異原性や発ガン性が指摘されている。WHOや我が国においても室内空気中のHCHOに関してガイドラインが制定されており,種々の行政対策が行われている。空気中のHCHOの測定法に関しては2,4-Dinitrophenylhydrazine(2,4-DNPH)試薬を含浸したカートリッジ捕集・溶媒抽出/HPLC法やガスクロマトグラフ法が広く使用されている。しかし,DNPH法は試薬自体に変異原性や発ガン性が指摘されており,これに替わる新たな測定法が模索されている。本研究においては有害性のない2,4-ペンタンジオン溶液(酢酸アンモニウム,酢酸,2,4-ペンタンジオン)を捕集液とし,サンプリングに高濃縮が可能なMiniature Diffusion Scrubber(MDS,ミニチュア拡散スクラバー)を用いた。本装置は捕集にガスの拡散を利用していることから捕集液の蒸発が少ない。そのため,捕集液量を極端に少なく(1 ml程度)できることから高感度測定が可能である。本法の測定原理はHCHOが酢酸アンモニウムの存在下で2,4-ペンタンジオンと反応して誘導体(3,5-diacetyl-1,4-dihydrolutidine)を生じるので,紫外線吸収検出器を備えた高速液体クロマトグラフィーで測定する方法である。本法の繰り返し精度(相対標準偏差パーセント)はサンプリングを含めて4.5%である。定量下限は1 Lサンプリングで0.012 ppmである。二酸化硫黄,二酸化窒素及びオゾンは共に室内環境レベルでは影響を受けない。本法はJISのアクティブサンプリング法(DNPH-HPLC法)と有意な相関が認められ,室内空気中のHCHO測定法として実用性が確認された。
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© 2012 一般社団法人 室内環境学会
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