抄録
日本自動車工業会(JAMA)は,車室内の揮発性有機化合物(VOC)の低減に対する取り組みを発表した。この自主規制に合致しているかの検証は実車による実測が必要となり,検証結果を得るまでには時間を要する。本研究は,実車検証が不要となるように部品のVOC放散速度を用いて直接車室内VOC濃度を予測する手法の確立を目的とした。研究対象とした小型トラックの実測から,予測対象成分候補としてホルムアルデヒド,アセトアルデヒド,トルエン,エチルベンゼン,キシレン,パラジクロロベンゼン(p-DCB)を選定した。次に,部品測定からVOC発生源となっている6部品を特定した。しかし,アルデヒド類は車両の塗装からの放散があったため予測対象成分の候補から除外した。次に,部品のVOC放散速度測定に用いるチャンバー法について,表裏を考慮する必要がある部品についての測定方法を検討し,JASO Z125条件下における車室内の部品温度と換気回数測定の結果を基に,チャンバー測定条件を決定した。部品個々のVOC放散速度の合算値から車室内濃度を予測した結果,実測値と予測値の差はトルエンが13%,エチルベンゼンが11%,p-DCBが26%,キシレンは実測値と予測値が同一の値で,車室内VOC濃度の予測が可能であることがわかった。