室内環境
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原著論文
浴室材料表面における汚れ濃度の実態把握と真菌増殖への寄与
古賀 遼益永 茂樹
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キーワード: 浴室, 汚れ, 真菌
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2018 年 21 巻 1 号 p. 9-18

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抄録

近年,日本の住宅は高気密高断熱化が進んでおり,換気が不十分な場合,浴室のような高湿度下では真菌を始めとした微生物が増殖しやすい環境にある。また,真菌の増殖には残存する汚れ(ヒト垢等)が寄与すると考えられるが,室内環境中の汚れ濃度と真菌量との関係は明らかではない。
従って,本研究では,現在国内で一般的な浴室であるユニットバスにおいて,部位ごとの汚染実態を定量的に明らかにし,汚れ成分の量,構成と真菌量についての相関を明らかにすることを目的としている。加えて,浴室内で一般的な真菌であるCladosporium sp.に対して実際の汚れ濃度レベルでの資化性を検討した。
汚れの表面濃度範囲は57-790 μg/cm2であった。また,天井が最も汚れ濃度が低く,排水口壁部が最も高かった。汚れに対する構成比は,ケラチンタンパクが最も高く(50%),トリグリセリド(24%),脂肪酸Na(15%)の3成分で約90%を占めた。真菌濃度とケラチンタンパク,トリグリセリド濃度との間で有意な正の相関を示した。資化性試験の結果から,Cladosporium sp.は,ケラチンタンパクに加えて皮脂成分(トリグリセリド)が存在した際に菌糸体の増殖が顕著であった。
以上の結果から,本研究では,浴室(ユニットバス)を対象に部位ごとの汚染実態を定量的に明らかにした。また,汚れ成分の量,構成と真菌量との相関関係から,浴室の部位ごとで各汚れの動態が異なる可能性を示した。
さらに,in vitroでの資化性試験からCladosporium sp.の増殖に,浴室内で発生するケラチンタンパクと皮脂(トリグリセリド)が重要であることを示し,実環境中の濃度で十分増殖可能であることを初めて示すことができた。

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© 2018 一般社団法人 室内環境学会
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