室内環境
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原著論文
スマートフォン空気質モニターを用いた市民の環境意識の向上に関する基礎的研究
孫 旭山内 克也関根 嘉香 鈴木 路子
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ジャーナル オープンアクセス

2020 年 23 巻 3 号 p. 231-239

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抄録

環境教育は環境の基本的価値に関する共通理解を得るうえで重要な役割を果たし, 環境に対する「意識」は空気質の改善に向けた第一歩となる。本研究では, 筆者らは中国北部遼寧省瀋陽市においてスマートフォン空気質モニターを用いてPM2.5およびPM10の個人曝露濃度の測定を試み, 環境教育活動における観測データの作用と意義を引き出すことを目的とした。2019年11月19-20日にボランティアが本モニターを携行し, 瀋陽市内の室内環境を含む11の地点および経路においてPM2.5およびPM10濃度を測定した。ボランティアは人文科学系で科学技術には精通していないが, 本モニターを容易に操作することができ, 1秒間隔のPM2.5およびPM10濃度をリアルタイムに取得することができた。本観測で得られたデータは, 市民の環境意識の向上に資する建設的な意義を有することがわかった。すなわち, 観測データの考察により, 空気汚染状況に関する認識ギャップ, PM2.5およびPM10による汚染メカニズム, および本モニタリングの科学的背景に関する視点を提示できることがわかった。本モニターは携帯可能, 操作が容易, 表示が明瞭であり, 市民の環境教育における補助的教材として利用可能である。

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© 2020 一般社団法人 室内環境学会
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