抄録
健康や美容の観点から,近年,腸内フローラに注目が集まっている。整腸作用のあるサプリメント利用が一般的になった一方で,伝統的な発酵食品への関心も高まっている。日本では伝統的に発酵食品や発酵調味料が広く普及しており,発酵調味料に用いられる麹は日本の国菌とされている麹菌が発酵に関与している。その他にも乳製品と乳酸菌を用いて作られるヨーグルトやチーズ,果物・穀類から作られる酒類にも発酵が欠かせない。これらの製品の品質や風味は,微生物の増殖の良し悪しで決まるため,発酵室や仕込み蔵などの室内環境において発酵をコントロールする技術が産業上の重要性を持つ。微生物の増殖に大きく関係する代表的な項目として温度や水分,酵素の酸素要求性や培地成分(栄養分)などが挙げられる。本稿では発酵食品の製造過程を題材に,室内環境の取り扱われかたや管理について解説した。