抄録
漆喰は,吸放湿性やホルムアルデヒドなどの揮発性有機化合物を吸着する能力や,微生物の増殖抑制効果を有する建材として期待されている。しかし,従来の研究は伝統建築で用いられる厚塗りの漆喰が中心であり,現代住宅で用いられる薄塗りの漆喰(現代漆喰)におけるこれらの性能に関する知見は不足している。特に,アレルギーなどの健康被害を引き起こすカビに対する抑制効果の知見はほとんどない。本研究では,現代漆喰の防カビ効果と,カビ菌種による効果の違いを検証した。Aspergillus nigerとCladosporium sphaerospermumを供試菌とし,異なる消石灰含有率の漆喰の防カビ効果を測定した。その結果,現代漆喰は,伝統的な漆喰と比較して薄い塗り厚にもかかわらず,高いアルカリ性を示し,カビの発育を抑制すること,漆喰中の消石灰濃度は30%以上の場合に高い抗カビ効果を発揮することが明らかになった。さらに,漆喰の防カビ効果はC. sphaerospermumよりA. nigerに対して強く発揮され,これはカビ菌種のアルカリ耐性の違いに起因すると考えられた。本研究の結果から,現代漆喰は高い防カビ効果を有し,室内の空気質改善を通じて居住者の健康に貢献する壁材として期待される。