室内環境
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原著論文
低コスト小型環境センサを用いた屋内外空気質の高時間・高空間分解能測定系の構築
―実稼働薪ストーブの排気ガスが近隣住宅に及ぼす影響―
宮嶋 陽司 軸屋 一郎畑 光彦
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ジャーナル オープンアクセス

2025 年 28 巻 3 号 p. 209-224

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抄録
日本では薪ストーブを住宅地に合法的に設置できる。薪ストーブが周囲の住宅やその周辺の大気質に与える影響を定量化するためには現実の生活環境における高時間分解能・高空間分解能な空気質の測定データが必要である。本研究では,複数個の低コストかつ小型な環境センサを用いて,住宅地における屋内外の空気質を1分の時間分解能で測定した。調査対象の住宅には24時間換気システムが設置されており外気吸気口は合法的に設置された隣家の薪ストーブの煙突から約10 m離れた場所にある。粒子状物質 (PM2.5),総揮発性有機化合物 (TVOC),CO2が65日間にわたって測定され記録された。すると2種類のPM2.5ピークが観測された。数日間にわたるブロードなPM2.5ピークと数分間程度の期間のPM2.5スパイクである。屋内外で時間分解能1分にて測定されたPM2.5スパイクの最高値はそれぞれ185 g/m3と650 g/m3であった。これらの値は瞬間値であり,世界保健機関 (WHO) が推奨する目標年間平均値10 g/m3と単純比較することはできないものの,この目標値よりも一桁以上高い値である。今回の測定では測定系を高時間・高空間分解能とすることにより,これまで日本で行われた同様の調査では見過ごされてきた,PM2.5の急上昇を特定することができた。
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© 2025 一般社団法人 室内環境学会
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