室内環境
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原著論文
い草のダニ防除効果と2-ブチルオクタン酸を用いた畳用防ダニ不織布の開発
古瀬 杏里荒金 政成中島 淳森田 洋司森田 洋
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2026 年 29 巻 1 号 p. 9-18

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抄録
室内環境では,室内塵性ダニが喘息やアレルギー性疾患の主要因となるため,居住空間における防除対策が重要である。本研究では,い草の品種間の差および経時的変化がヤケヒョウヒダニの侵入行動に及ぼす影響を明らかにするとともに,分岐型脂肪酸である2-ブチルオクタン酸(iso-C12)を含浸固定化した不織布を防ダニ紙として用いる新たな防ダニ手法の有効性を検討した。畳表はひのみどり,ひのはるか,夕凪において侵入阻止率がそれぞれ98.3%,96.3%,93.9%と極めて高かった。一方,太陽光曝露により色落ちした畳表では,侵入阻止率が62.5%以下まで低下した。色の違いはダニの誘引効果に影響を及ぼさないことが示唆され,侵入阻止効果は視覚刺激ではなく,い草に含まれる揮発性成分の減少に起因する可能性が考えられた。さらに,iso-C12含浸不織布は0.78 v/v%でも侵入阻止率ほぼ100%と高く,簡易畳試験でも50 v/v%以上のiso-C12の濃度で81~87%の侵入阻止効果が得られた。以上より,本手法は居住者への曝露を抑えつつ畳内部へのダニ侵入を抑制できる実用的な防除方法であることが示唆された。
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© 2026 一般社団法人 室内環境学会
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