抄録
本研究では,分岐型脂肪酸塩に着目し,2-ブチルオクタン酸カリウム(isoC12K)のMalassezia furfurに対する抗真菌効果および殺真菌効果を検討した。薬剤感受性試験の結果,isoC12Kは0.156 wt/v%の低濃度で最小発育阻止濃度(MIC)および最小殺真菌濃度(MFC)を示し,高い抗・殺真菌活性を有することが明らかとなった。さらに,FDA–PI二重蛍光染色法により,isoC12KがM. furfurの細胞膜機能を障害し,殺真菌的に作用する可能性が示唆された。また,isoC12Kを市販シャンプー製品と併用した試験では,単独使用では抗真菌効果を示さなかった製品においても,isoC12Kの添加で抗真菌効果が付与されることが明らかとなった。加えて,isoC12Kを洗浄成分として配合したモデルシャンプーを作製し,洗浄力および毛髪への影響を評価した結果,従来の界面活性剤であるSodium dodecyl sulfateを用いたシャンプーと同等の洗浄能力を示す一方で,毛髪表面および内部タンパク質へのダメージは低い傾向が認められた。以上の結果から,isoC12KはM. furfurに対して高い殺真菌活性を有するとともに,洗浄成分としての機能性と毛髪への低ダメージ性を兼ね備えた成分であることが示唆された。