室内環境学会誌
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新築住宅の室内ホルムアルデヒドおよび揮発性有機化合物濃度の経時変化
原 邦夫伊藤 昭好原田 幸一宮北 隆志魏 長年上田 厚
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2000 年 3 巻 1 号 p. 45-50

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抄録
新築住宅の内装材(壁材, 天井材, 床材, および接着剤など)や家具類から発生するホルムアルデヒドおよび揮発性有機化合物(VOCs)によるヒトへの健康影響が心配されている。本研究の目的は, 新築住宅を対象として内装材・家具類から放散されるホルムアルデヒドおよびVOCs室内濃度を経時的に測定し, 新築時の室内のホルムアルデヒドおよびVOCsに対する対策について考える際の基礎的データを収集すること, およびスポットサンプリング・分析方法(VOCs: TenaxTA-GC/MS法, ホルムアルデヒド: XPoSure-HPLC)と光音響式マルチガスモニタによる測定方法とを比較することである。対象とした新築住宅は, 空気循環式の煉瓦造住宅で, 強制的なベイクアウトはおこなわなかった。外壁材は煉瓦, 内部の基礎部分および接着剤はホルムアルデヒドを含有しない物を使用したが, 壁材, 天井材および床材の内装材は市販の通常の物が使用された。調査は1998年6月から12月まで行った。スポットサンプリング・分析方法による結果は内装工事終了時点でホルムアルデヒド濃度が0.171μg/m3(0.141ppm), トータルVOCs(トルエン換算濃度)濃度が5,830μg/m3に上昇することを示した。その後, ホルムアルデヒドおよびトータルVOCs濃度は内装工事終了後の5ヶ月でほぼ以前の室内濃度レベルに低減した。窓を開閉し室内のホルムアルデヒドおよびトータルVOCs濃度を24時間連続測定することでも, 内装工事終了の2ヶ月後においてもホルムアルデヒドおよびVOCsの発生が認められた。また, スポットサンプリング・分析方法とマルチガスモニタによるホルムアルデヒドおよびトータルVOCs濃度測定値の間に統計的に有意な相関関係が確認された。
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