抄録
近年, 室内空気汚染の主な原因物質として建材などから発生する揮発性有機化合物 (Volatile Organic Compounds, VOCs) が注目され, 盛んに研究が行われている。事務所ビルの改修においては, 居住者が工事終了直後に入居するケースが多いため, VOCsによる汚染に対する対策を施すことが重要である。
室内濃度を低減するには, 換気量を増やす以外の手段で, 汚染発生量を低減することがもっとも有効であると考えられる。VOCsの発生量の低減策としてBake-out手法が用いられている。Bake-outは数日間に亘って対象室を加熱 (30℃強) し, 建材等からのVOCsの発生を促進して, その発生量を初期段階において多く排除する方法である。Bake-Outの目的は, 室内の初期発生量の低減と, それにより室内濃度が基準値を上回る期間を短縮するという2点にあると思われる。しかしながら, このような視点でBake-outの効果を定量的に評価する研究報告は見当たらない。
筆者は改修直後のあるオフィスに対してBake-outを実施し, またその後の半年間に亘って室内VOCs濃度を定期的に測定した。本研究はその結果を基に, Bake-outによる初期発生量の低減とその後の室内濃度の低減への影響について定量的な評価方法を提案するものである。