抄録
近年, 室内空気中の化学物質がSick building syndrome (SBS) や化学物質過敏症 (Chemical sensitivity, CS) 等の発症に大きく関与していることが指摘されている。本報告は室内空気中のホルムアルデヒド (HCHO), 揮発性有機化合物 (VOCs), 有機リン化合物がどの程度存在し, それが年間を通してどのように推移するのか, また, 室内温湿度とどのような関連性を示すのか, 神奈川県横浜市に建立する集合住宅内で調査を行った。更に, 同一住宅内でフタル酸エステル類の実態調査も合わせて行った。
その結果, ホルムアルデヒドは夏季に濃度が高く, 室内の温度とよく似た変動を示すことが明らかとなった。揮発性有機化合物は竣工直後から濃度が減少する成分と夏季に濃度が上がる成分とが認められた。有機リン化合物は粒子状とガス状成分とでは挙動が異なることが明らかとなった。フタル酸エステル類は蒸気圧の高いフタル酸ジメチル, フタル酸ジエチル, フタル酸ジアリル等はガス状, フタル酸ジブチル, フタル酸ジオクチル等は粒子状で存在する割合が大きいことが判った。また, 室内に据え付けられた収納棚はホルムアルデヒドの室内発生源の一つであることが明らかとなった。