室内環境学会誌
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拡散型サンプラーにおける理論的捕集速度の算出法の検討
光崎 純中井 里史白砂 裕一郎平野 耕一郎
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2006 年 9 巻 1 号 p. 1-15

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抄録
室内空気質の測定において、拡散型サンプリングは安価で簡便な試料採取法である。しかし、拡散型サンプラーは、各物質の捕集速度を実験や文献等から得ておく必要があり、捕集速度のない物質については濃度の算出が出来ない。また捕集速度の値は文献によって異なっていることもあり、どの値を信頼すべきかどうかについてはわからない。本研究では、Volatile Organic Compounds捕集用拡散型サンプラーの捕集速度をサンプラーの構造と物質の物理特性からFickの拡散第一則に従った算出方法について検討した。拡散型サンプラーの捕集速度を算出するために必要な値である拡散面積、拡散距離は、サンプラーの構造を詳細に観察し計測した。拡散係数は、物質の物理特性から推算式を利用して算出した。得られた値から、室内での発生が確認されている代表的な物質であるベンゼン、トルエン、キシレン(BTX)の3物質における捕集速度を各種のサンプラーについて算出した。そして、既知濃度のガスが安定に発生できる蒸気拡散法を用いBTXガスを発生させ、曝露実験による捕集速度を各種のサンプラーについて求めた。得られた拡散理論による捕集速度と曝露実験による捕集速度を比較した結果、一部のサンプラーを除いて良好に一致することが分かった。以上から、本法は共通の捕集速度算出法として十分に利用可能であると考えられる。
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