抄録
シックハウス症候群(SHS)は医学的に確立した単一の疾病というよりも, 室内空気質に起因する健康障害といえる. 発症には様々な環境因子への曝露が指摘されているが, 解明が進んでいないものも多い. そこで, SHSの自覚症状と住居環境や住まい方との関連を明らかにすることを目的として, 岡山県内において一般住宅を対象に環境測定(室内気中化学物質濃度, 空気中真菌濃度, ダニアレルゲン量)及び質問票調査を実施した. 何らかの自覚症状がよくある, またはときどきあり, 家の環境によるものとするSHSの定義に該当したのは42名(17.0%)であった. 単変量解析では, SHS症状と関連する生活背景項目としてカビ臭いにおいがする, 家のにおいが気になる, 家の空気が悪いと感じる, 家具のにおいが気になる, 睡眠が不十分, アレルギーの既往でオッズ比が高く, 睡眠時間ではSHS群の方が有意に短く, 室内環境測定との関連では, アルデヒド類数種の濃度がSHS群の家屋で高く, Fusarium属が多く検出された. ロジスティック回帰分析では, SHSと有意な関連がみられたのは, 生活背景ではカビくさいにおいがする, 家の空気が悪いと感じる, 睡眠が不十分であった. 室内環境測定では化学物質, ダニアレルゲンの関与は認められなかったが, 空気中総真菌濃度のORが高く, SHS群の家屋は真菌濃度が高いと考えられた.