抄録
室内空気中のギ酸は, ホルムアルデヒドなどの有機化合物とオキシダントとの反応により生成する二次汚染物質であり, 皮膚や粘膜に対する刺激性を有することからシックハウス症候群に関与する可能性が指摘されている。一方, 空気中のギ酸は塩基性物質と反応するとギ酸塩となり, 蒸気圧が低くなるためエアロゾル粒子として存在する可能性がある。そこで本研究では, 室内空気中のギ酸濃度をガス状および粒子状に分けて測定するため, ミニチュア拡散スクラバー/インピンジャー捕集-イオンクロマトグラフ法を開発した。捕集液には水酸化カリウム水溶液を用い, 通気流量は0.1L/minとした。前段のミニチュア拡散スクラバーによるガス状ギ酸の捕集効率は94%, 捕集したギ酸の再揮発やミニチュア拡散スクラバー内への粒子沈着の影響は見られなかった。また本法によるギ酸捕集量の総量は, 従来のインピンジャー法と一致した。本法を用いて居住住宅において実態調査を行ったところ, 室内空気中のギ酸は, はじめはガス状物質として生成し, 徐々に粒子化していくことがわかった。ギ酸の粒子化機構として, 空気中の塩基性物質との反応に伴うギ酸塩の生成, および空気中エアロゾル粒子への吸着などが考えられるが, 同一住宅でも測定日によっては粒子化が起こらない場合もあり, 粒子化のメカニズムは不明な点が多い。