抄録
アルカリ処理した野蚕絹糸(さく蚕糸、天蚕糸、ムガ蚕糸)にグルコースオキシダーゼ(GOD)を吸着させ活性測定等を行ったところ、さく蚕糸を用いたとき最も高い活性が認められた。アミノ酸分析ではアルカリ処理および品種間による酸性/塩基性アミノ酸比率に違いは認められなかった。アルカリ処理での重量減少率はさく蚕糸が他に比べ大きかった。これらのことから、さく蚕糸をアルカリ処理したとき他の野蚕糸に比べて、GOD吸着量・活性量が大きくなったのは、酵素~繊維間のイオン的相互作用が変化したためではなく、比表面積等の増加が影響したためと推定した。