生糸品位の最上格を目指す「6Aプロジェクト」で開発したチタン製繊度感知器は,その機能面においては評価されたが,「ガラス製繊度感知器のように糸の挿入状況が見えないため汚れ状況の点検ができない」という繰糸作業者からの指摘があり,実用面で問題があった.
そこで,スペーサー(丸型繊度感知器を構成する2枚の円型の平面板(ゲージ)の間に挿入するフィルム)の厚みに相当する段差を付けて加工したチタン製ゲージと透明な各種のプラスチック素材の平面ゲージによる複合型(HB)繊度感知器を開発した.
その特性評価について比較検討を行った結果,表面加工したポリカ(ポリカーボネイト,Polycarbonate)HB繊度感知器は,①一斉調整目盛りにより目的の生糸繊度を制御できること,②スペーサーを必要としないため感知器の固体間誤差がなくなったこと,③分解及び組み立てが容易でメンテナンスにおけるメリットが大きいこと,等の理由により実用化の可能性が見いだされた.