2023 年 31 巻 p. 21-26
家蚕の5齢4日目以降において,桑葉の給餌量を半減した場合の繭の収率,繭糸の繊度・形状,フィブロインの結晶化度,等への影響を調べたところ,蚕体サイズが小型化して繭糸長が短くなる傾向を確認した.さらに,セリシンAの不足が生じ繭糸を構成する2本のフィブロイン繊維の露出や分離が観察された.しかし,産生されるセリシンP,セリシンMの量はフィブロインの繊維構造形成には十分であった.一方,25%程度の給餌量の減少は,カイコのホメオスタシス機能によって蚕体が小型化することで繭収率に殆ど影響しなかった.