2024 年 32 巻 p. 5-10
農研機構が保存しているカイコ(Bombyx mori)の欧州在来種は27系統あり,繭色は肉色で,繭形は楕円,糸量が多く,繭糸繊度が太いものが多いのが特徴である.欧州在来種の一つである「セヴェンヌ白」は,欧州種としては比較的少数の白繭で,繭型は浅縊俵型で繊度は比較的太い.「セヴェンヌ白」はフランス・ロココ時代の宮廷衣裳の復元に用いられ,白く輝き,ハリがあるのに柔らかくしわにならず,ドレスのフォルムは,ふわりと柔らかい曲線を表し,往時のドレスの特徴をそなえていた.そこで,「セヴェンヌ白」の「白さ」の要因を調査するため,まず,色彩色度計を用いて繭色を測定した結果,「セヴェンヌ白」は白繭日本種系統や白繭中国種系統と比較して白色度が高いわけではなかったが,黄色度が低いことが判明した.さらに,蛍光分光光度計を用いて3次元蛍光分析を行った結果,絹タンパク質の持つ青色蛍光が強いことがわかった.