繭乾燥方式としては,115℃まで一気に温度を上げ,5から6時間かけて60℃まで温度を下げる方式が一般的である.遺伝子組換えカイコによる蛍光シルク繭は,通常の繭乾燥を行うと熱により蛍光タンパク質が変性し完全に色がなくなってしまうため,電気式気熱乾燥機を用いて低温の60℃で24時間,乾燥が行われている.繭乾燥の効率化を図るため,「市田柿」の製造に用いられている気熱式減圧乾燥機の導入を検討した.気熱式減圧乾燥機を用いて普通品種の白繭の繭乾燥試験を行った結果,明らかに黄色度が低く,熱による変色をかなり抑えることが可能であった.また,同様に遺伝子組換えカイコの緑色蛍光繭の繭乾燥試験を行った結果,変色をかなり防ぐことが可能であった.低温の60℃で繭を乾燥する場合,減圧を行わない通常の気熱乾燥では24時間の乾燥時間が必要であるが,減圧乾燥では乾燥時間を10時間短縮することが可能であり,繭処理効率の向上が見込まれる.