日本シルク学会誌
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学術論文
蛍光シルク系統のスタック品種の性状について
飯塚 哲也 伊賀 正年平山 力岡田 英二
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2025 年 33 巻 p. 27-35

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抄録
 遺伝子組換え技術により機能性タンパク質をフィブロイン融合タンパク質として絹糸腺で発現させることで,高機能シルクを作製できる.高機能シルクの一つである蛍光シルクは,フィブロインに結合するよう各種蛍光タンパク質を発現させている.現在では,緑色蛍光タンパク質含有絹糸生産カイコなど複数の蛍光シルク品種が,産業上利用可能である.本研究では,蛍光シルクの混色効果を調べるため,紫外光で青色蛍光を発する青色蛍光シルク系統と橙色,緑色,赤色蛍光シルク系統との交雑試験を行い蛍光色の変化等について調査した.青色蛍光シルク系統と緑色蛍光シルク系統の交雑種で,通常は励起されない紫外光で緑色蛍光が観察できた.一方で青色蛍光シルク系統と橙色蛍光シルク系統の交雑種は,相乗効果は見られなかった.多くの蛍光シルク系統が開発されてきたが,蛍光タンパク質遺伝子を複数持つスタック品種とすることで,可能性が広がることが期待される.
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© 2025 日本シルク学会
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