日本シルク学会誌
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原著
シミュレーションによる絹布の放湿過程の解析
山田 晶子
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1999 年 8 巻 p. 25-31

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抄録

 布の乾燥実験で分かった事を基に、絹布の放湿過程を数値計算によるシミュレーションで再現することを試みた。布の乾燥過程について、基本的に2つの仮定を行った。1つは、布に入る熱エネルギーと布から蒸発する水分との間にはエネルギーバランスが保たれていること。もう1つは、布の水分率が低くなった時には、水分吸着曲線に沿って布の水分率が変化すると仮定した。数値計算結果の速度定数k1は、実験結果と殆ど等しく、k2は実験結果より約1.7倍と大きいが、実験結果と同様のグラフを得る事ができ、実験結果を大変良く再現した。つまり、放湿過程の重要な要因を証明することができた。数値計算結果のk2が大きい理由として、平衡時の水分吸着曲線に瞬時に平衡になると仮定している点が上げられる。また、数値計算結果のkは、k=αn/voから求めたkと良い対応を示した。

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© 1999 日本シルク学会
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