野蚕繭 (アナフェサン、クリキュラ、アタカス、エリサン) を綿状にしてガラ紡で紡績糸を作ることが可能な処方で精練して作製した繭綿について物性調査した。アナフェサン繭綿はセリシンの付着状況にムラがみられたが、ヨナクニサン繭綿は繊維表面が滑らかであり、セリシンはほぼ完全に除去されていた。野蚕繭綿の吸湿率は低湿度の下ではアナフェサンはほかのサンプルに比べると1%程度低い吸湿率の値を示した。ヨナクニサンとクリキュラは複屈折値△nはほぼ0.040で、アナフェサンではやや高い値 (0.045) を示した。物性性能は野蚕繭綿の間でさほど差が大きくなかったが、ヨナクニサン繭綿、クリキュラ、アナフェサン外内層部が高い圧縮弾性回復率を示した。