日本シルク学会誌
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原著
生糸の節発生と制御に関する研究
(I) 繭の煮熟度と節発生数との関係
森 良種坂部 寛川名 茂
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1999 年 8 巻 p. 9-16

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抄録

 生糸の節制御技術の確立を目的として, 本報では生糸非破壊検査システムを用いて, 繭の煮熟度と生糸の節発生数との関係を検討した。煮熟度を簡単に変えることができる鍋煮繭法を用いて, 繭の煮熟度を変化させて生糸を繰製した。その結果, 生糸の節発生数は, 煮熟時間を極端に長くすると, 小節, 中節等が急激に増加し, 節の種類は大部分が「わ節」であることが判明した。
 また, 煮熟時間の増加に伴う「大わ節」と「さけ節」の発生消長が極めてよく一致することがわかった。蒸気式煮繭機である繭検定用自動煮繭機により煮熟度を極端に進めた場合でも同様の現象が生ずることを確認した。従来, 小節の発生は品種依存性があり, 工程の影響が比較的少ないとみられていたが, 煮熟度を極端に進めると著しく増加することが認められた。

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© 1999 日本シルク学会
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