何度も核実験を強行し、弾道ミサイルの発射試験を繰り返す北朝鮮。核ミサイルという戦後最大の軍事的脅威に直面する日本は2017年3月、初めて弾道ミサイルを想定した住民避難訓練を実施した。しかし、それはあまりにもお粗末な内容で、国民保護の名に値しない訓練であった。なぜ、日本はこのような対応しか取れないのか。危機における国民保護を考えるためには、まず国民の間で脅威認識を一にし、扇情的な左右のイデオロギーを排し、過去の経験を踏まえたうえで、しっかりと現実と向き合うことが大切である。戦後長い間、戦争や国防、安全保障について考えることを忌避してきた日本人にとって、北朝鮮の核ミサイル危機は、皮肉にも、その転換点となるかもしれない。